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コンサルタント思考の備忘録

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「不適切な会計経理の開示」から見る、企業不正の傾向

こんにちは、ヒガシです。今日は、会計に関する不正についてです。会計周りに関するニュースで耳目を引くのは、決算発表か、大きな不正ではないでしょうか。ニュースにならない規模の不正であれば、どの会社でも起きています。今回はその「不適切な会計経理の開示」が増えているというニュースについて、見ていきます。

企業の不適切な会計が増えている!?

 

www.tsr-net.co.jp

 

 まず、こちらの東京商工リサーチの「不適切な会計経理の開示企業」を見ましょう。こちらは、東京商工リサーチが会社の開示書類を一件ごと見ていき、不適切な会計経理を開示している件数を集計したものです。

 こちらによると、2011年には16社だった開示件数は年々増え、2016年1-10月期は、48社にまで増えています。

 この点について、記事では原因の分析までは触れてませんが、2015年5月の東芝の不適切会計に言及して、コーポレートガバナンスコンプライアンス意識の欠如が与える影響の大きさに触れています。

 

じゃあ、不正が増えているかというと・・・

 その答えは・・・わかりません。というのも、開示だけでは、実際に開示されていない部分を含めた件数が多いのか少ないのかはわからないからです。正直、感覚的なものですが、不正というのはいつの時代も存在しています。ただ、それが過年度遡求修正の会計基準の影響や、コーポレートガバナンスコードの影響で開示されるようになったので見かけ上、増えただけなのではないかと考えています。

 だから、あまり件数が多いから、少ないからということより、どういう傾向があるのかを掴みながら、自分の会社で起きる仕組みになってないかということを会計に関わる経営者、取締役、事業部長、経理メンバー、監査室、監査役、会計監査人が見ていく、常に起きる可能性に気を払うことが重要だと思います。

不正の傾向はどうなってる

不正の主体別に見ていくと、

会社 23社

役員 2社

従業員 4社

子会社、関連会社 20社

と、会社ぐるみの不正が多いのが特徴ですね。こういう不正は根が深いです。会社の不正は1人ではできません。業務を監視する仕組み(内部統制)がある会社は、どこかで気付きます。また、全て上場企業であるため、会計士が見ており、資料の改竄等が行われてることが想定されます。

 また、子会社、関連会社は親会社の目が行き届かず、十分な内部統制が作れないことから不正が発生しがちです。特に海外の子会社は、商慣習の違いや、賄賂の要求が起きうる可能性もあり、周りに相談できるメンバーも少ないことから、不正が発生しがちです。 

最後に、不正は必ず見つかる

 これは、私の経験則ですが、不正はやり続ける限りどこかで見つかります。複式簿記で帳簿を記帳するのであれば、どこかで辻褄が合わなくなってきます。それは、顧客との確認状で発覚したり、長期の滞留在庫、債権債務となって現れます。

 最後に、不正をやる人間が悪いのはもちろんですが、それをさせない仕組み、疑われない仕組みを作るのは経営者の役目だと思います。不正をすれば犯罪になることはもちろん、職を失い、真っ当な仕事に再び就くのは難しくなります。家族も巻き込まれることになります。会計に携わる人間としては、不正によって不幸な人が生まれないよう、常日ごろから心がけて仕事をしていきたいと思います。

 

ではでは、今日はこの辺で

 

[12月14日追記]

週間エコノミストが期せずして、粉飾特集でした。手口に関する会計士の意見も載ってるので、気になります。

週刊エコノミスト 2016年12月20日号 [雑誌]

週刊エコノミスト 2016年12月20日号 [雑誌]

 

 

こちらは、公認不正検査士協会の発行する企業不正対策ハンドブックです。私の知る不正対応本の最高傑作です。不正のタイプから発見方法まで体系的に解説されており、これ以上の本は今のところないと思います。