ヒガシの日記

公認会計士コンサルタントの思考の備忘録

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プロジェクトの最大抵抗勢力は慣習だと思う

こんにちは、ヒガシです。プロジェクトを進めて行くということは今まではやっていなかったことをやることになります。そこには様々な抵抗があります。使ってきたシステム、利益が得られない部署や役員、長年慣れ親しんだプロセスやルール。 

 

これは経験談なので、与太話として見て欲しいのですが、一番の抵抗勢力は「慣習」だと思います。物体運動には慣性の法則が働きますが、企業という塊にも慣性があり、今までの動きを変えたくない、場合によっては、今いる場所から動きたくない!という抵抗まであります。

 

この慣性、理由がないだけにものすごい力を持って、抵抗力になります。

  • いまのままでも、業務は回っている(他社と比べると回っていない)
  • 今までもこうやってきたし、これからも変える必要かあるとは思わない(思うのは勝手ですが、役員も部長も変える必要性を感じています)
  • 誰の許可を得てそんなこと言っているんだ!(御社の役員でございます)

でも、想像するんです。いきなり外部からやってきた人間に、自分がやってきたことを否定されるような気持ちや掻き回されることを。そう考えれば、抵抗の理由の一つは気持ちの問題でもあると思うのです。

 

ビジネスの見地からだけではなく、今までやってきたことがあるからこそ、その改革ができるのだということを感謝していくことも変わることを強制される側には必要なのかもしれません。

 

検討は論理的に、でも話すときには情緒にも配慮して。今更ですが、コンサルタントとして以前に、人として大切なことは何かに立ち返ることが大きなことを為すには必要であると感じます。

東芝-監査意見なしの決算発表は異例中の異例

東芝が監査意見なしの決算発表を行いました。監査意見は決算の内容について、会計士がお墨付きを与えるものですが、お墨付きのないまま決算発表をしました。今回はこれを解説していきます。

 

監査意見がどう影響するのか?

まず監査法人(公認会計士を中心に構成される法人)による会計監査が求められる会社です。一般的には2つの法律から会計監査が求められます。1つは会社法、もう1つは金融商品取引法です。会社法は、会社規模で、金融商品取引法は株式や社債等の条件で合致する会社が対象です。

 

東芝については、会社規模、株式上場と両方の要件を満たしているので、両方の法律から会計監査を委託することが必要になります。

 

監査意見には全部で4つの報告種類があります。

  1. 意見表明-適正意見
  2. 意見表明-限定付適正意見
  3. 意見表明-不適正意見
  4. 意見不表明

実はこの監査意見、法律上の要請から行われるものですが、その結果次第で上場廃止になります。証券取引所上場廃止基準にこんな一文が入ってます。

 b.監査報告書又は四半期レビュー報告書に「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき

 

www.jpx.co.jp

 

つまり、監査意見の不適正意見や意見不表明は、上場会社の一発レッドカードなんです。

 

上場廃止になれば、会社は潰れると思われ、取引が止まり、融資も引き上げ、結果的に会社が潰れたり、売却されたりするでしょう。だから、不適正意見や意見不表明が出ることはまずありません。そんな意見を出して責任を負うくらいなら、監査法人は退任するでしょう。

 

東芝の場合はどれか?

東芝の会計監査を担当するPwcあらた監査法人は、監査意見を不表明としたようです。アメリカの原発プラント会社ウエスチングハウスの監査で、調査範囲の折り合いがつかず、適正か、不適正かを言えるほど証拠が集まらなかったようです。

これにより東芝の上場維持は証券取引所に委ねられることになりました。

 

東芝 四半期レビュー報告書の結果不表明について

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20170411_1.pd

 

 これから想定されるシナリオは以下があります

・監査人を交代する。監査法人トーマツはアドバイザリー関与や、調査委員会関連で関わりが深いため、おそらくあずさ監査法人。監査報酬をふっかけられるかも。

あらた監査法人に監査意見を表明してもらう為、監査意見不表明の根拠になっているウエスチングハウスによるストーンアンドウェブスター買収時ののれん評価、減損処理についてあらた監査法人の言うことを聞いて調査に応じる。

→もし、2016年3月期に計上すべき損失があり、過去から債務超過だったとなると二期連続債務超過上場廃止。おそらく借入金の契約にも抵触。

・このまましばらくやり過ごす。

東証上場廃止を宣告するかも

 

いずれにしても、東芝はさらに苦境に立たされています。

 

※本記事は公表情報を元に、ヒガシが個人的見解として記載をしております。記事の正確性や、根拠となる法令の解釈や適用に誤りがある可能性があります。

コンサルタントが超えられない一線

昔の話だが、ある会社で営業部門と経理部門が協力して課題を解決するプロジェクトに経理サイドのアドバイザーとして参画していた。営業部門からやりたいと言ったにもかかわらず、どれくらいの期間で、どういう役割分担で進めるのかといったことがいつまで経っても出てこない。プロジェクトに必要なものは出してこないのに、早く進めようという掛け声だけは聞こえてくる。

 

狐につままれたような気持ちで、ゴールや進め方を1つずつ確認していき、合意点を探っていたところ、経理部長に呼び出された。

ヒガシさん、申し訳ないけれども今回の件に関しては我々内部の人間だけでやらせて欲しい。筋が通った進め方ではらちが明かない。

今まで、こちらの提案に同意していた部長が言う。

ただならぬものを感じ、我々を外していただくのは一向に構わないが、せめて理由を教えて欲しいとお願いした。

 

「実は営業部門は、経理にメリットがあるといいつつ、経理に仕事を押し付けようとしている。しかも、この話は上同士で合意しているので、もう進め方でどうこうする話ではない。やるしかないんです。」

 

営業部門は素直にやって欲しいと言えば、経理に貸しを作ることになるし、システム改修の費用負担を求められるかもしれないことを見越して、のらりくらりとしていたのだ。会社全体で見れば、絶対に正当な方法で役割分担、責任範囲を決めてやるべき内容だった。それでも、部門の利益と、自分の保身を考えた営業部門はそれを良しとしなかった。

 

それでも関与すべきだったか?

 

それはわからない。

 

ただ、コンサルティングはクライアントが望み、論理的思考が必要な時にだけ仕事があるものだという一線を越えることはできないことを考えれば、社内政治の舞台に立つのはコンサルティングではないとは今でも思う。