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コンサルタント思考の備忘録

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仮説の必要性と構築方法

コンサルタントは常に仮説を持つことを強調されます。私も強調します。仮説のないことは、無手勝流にやっていくしかありません。仮説がなぜ必要なのかと、仮説の立て方についてまとめます。

 

仮説の必要性

まず仮説の必要性についてですが以前の記事で一部の内容についてはご案内の通りです。

 

higashinikki.hatenablog.com

仮説を用いると、各ステップのおおよその結果が仮説に基づいて推定でき、実施すべきタスクを予め把握することができます。

やったもん勝ちの時代-検証コストが下がると仮説思考の出番が減る? - ヒガシの日記

 

上記よりも大切なこととして、仮説は単なる効率化だけではなく、課題解決においての成否を決めることと同義だと私は考えています。なぜならば、プロジェクトの開始時点で何をやるのかわかっていない場合、それが狙った目的にたどり着くのは不可能だと考えているからです。 

例えていうならば、仮説のないプロジェクトは、たどり着く場所だけ決まっている旅行にいきなり出発するようなものです。歩いて行くのか、自転車、車、飛行機、船、どこに泊まるのか、泊まらないのか、食事はどうするのか、お金はどれくらい必要か、そういったことを抜きにして旅行が始まるのです。

コンサルタントに業務を依頼する人間で、結果が出なくてもいいからやってほしいという気概のある人はあまりいないと思います。なので、成果が求められる以上、はじめにその道筋が無いというのは、いかにあり得ないことか、お分かりかと思います。

 

仮説の構築方法

仮説の構築方法については、書籍等で案内されているので改めて私の方からお伝えするのも野暮ですが、個人的には、現状手に入っているファクト(情報のうち、確度が高いもの)だけから、想定しうる論理的展開を考慮して、目的達成の可否並びにその実現までに必要なアクション、情報を明らかにする思考法だと捉えています。

 

従って、まずは目的から設定し、その上でその検討に必要な要素を、要素分解や演繹により導いて、今持っているファクトと照らし合わせて、過不足を洗い出すのが手順かなと改めて整理してみると思います。

 

ややわかりづらいので、例を。

 

例えば、会社の中で、生産設備をリプレイスするかどうかの検討を考えてみます。

まず、目的としては、今の生産設備をリプレイスすることで、会社がより利益を得られる場合にはリプレイスするという結論になることが想定されます。(会社が営利を追求する性質上、利益が判断基準になる場面は多いです。)

次に、生産設備の投資に求められる要件として、品質、生産コスト、投資コスト、機会損失といった内容を想定し、それらをどのように検討すべきか、情報源は何かを棚卸します。

更に、それらの要件を、投資評価基準に当てはめると共に、その際の資金調達方法を考慮する方法を検討します。

 

上記は一例ですし、私は事業側は専門ではないので、ズレもあるかもしれません。ただここで言いたいのは、これらのステップをあらかじめ設定し、どこに時間がかかりそうか、どの作業同士が前後関係があるのかを整理することで、作業全体の期間、優先すべきことが見えるようになることです。精度を高くするのが目的ではなく、検討の概要をあらかじめ確認しておくのが目的なので、これくらいでもないよりマシです。

実際のプロジェクトでは、WBS(Work Breakdown Structure)と呼ばれる作業計画に落とし込み、管理していきます。もっとも細かな作業やリサーチはアナリストに、ある程度の単位はコンサルタントに、テーマや領域はシニアやVPが受け持つことになります。

 

仮説構築力を身につけるには?

仮説構築力を身につけるのに必要なことは2つだと思います。

1つは、仮説の対象となる領域に対して、専門的な知識を持っておくことです。これはある領域における論点とその解決手段を知っていることは、仮説構築上の重要なポイントになるからです。会計財務領域であれば会計基準、税務、実際の会計処理のフロー、資金管理、ERP等のシステム周りの知識は基礎知識になると考えています。

もう1つは、仮説を実際に立てることです。なんとなく始めるでもなく、細かく計画を立てるでもなく、仮説を立ててやるべきことを順序だてていくことを繰り返すことで、だんだんとその型がわかってきます。これは実践の機会を作るしかありませんし、それがないなら身につける必要もありません。

 

学術的な仮説とは違うかもしれませんが、ビジネスの世界では、常に最新のことをやるわけではありません。ある程度型が決まっていることに対して、どう実践していくかも求められます。仮説思考はそういった場面で役立つスキルです。 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

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