読書ノート-孫子
こんにちは、ヒガシです。古典の名著と名高い「孫子」を読みました。今回は、そのいくつかを取りまとめていきます。
なぜ孫子を読むのか
孫子は古代中国の兵法書、要するに戦をどのように行うべきか、行わないべきかということを纏めた書ですよね。ただ、「孫子」の冒頭にもあるように、孫臏、孫武どちらが書いたのか、どこまでが原著なのかということには議論があったそうです。
話を戻して、なぜ孫子を読むのかということです。
戦、ビジネス、目的ややり方の違いはあれど、共通する点は多いのではないかと考えています。また、これだけ時代の永きに渡り、生き残る書である以上、エッセンスとなることがあるのではないかと。敵と味方の目的、戦を起こすべき時、起こすべきでない時、リソース配分といった部分に共通の考えを期待します。
孫子兵法の構成
孫子の内容は全部で13篇に分かれています。
- 計篇
- 作戦篇
- 諜攻篇
- 形篇
- 勢篇
- 虚実篇
- 軍争篇
- 九変篇
- 行軍編
- 地形篇
- 九地篇
- 火攻篇
- 用間篇
実践をベースに帰納的に考えられたエッセンスがそれぞれの篇ごとに纏められています。もちろん現代ビジネスに適用できるものもあれば、全くできないような火攻篇のようなものもあります。
①戦争とは国家の大事=新規事業とは企業の大事
戦争とは国家の大事である。死活が決まるところで、存亡の分かれ道であるからよくよく熟慮せねばならぬ
戦を起こすことは国家存亡をかけたことであるから、よく考えてことを起こさなくてはいけない。文字通り命をかけた意思決定です。
翻ってビジネスにおいても、意思決定を誤れば、損失につながり、最終的には市場からの撤退に結びつきます。
孫子では、その時に判断すべきことについてこう述べています。
5つの事がらではかり考え、目算で比べあわせて、その時の実情を求めるのである
五つの事がらとは、道、天、地、将、法と定めています。道とは人民の心、天とは季節、地とは地形、将とは将軍、法とは軍政のことです。これはこのまま、会社においても、道とは社員の心、天は景気の市場動向、地とは地域、将とは管理職、法とはガバナンスと言い換えることができます。
社員の心が、一体化されており、景気や市場の環境が上向きで、地域に利点があり、優秀な管理職がいて、統治が効いていれば、勝てる可能性が高いといえるのではないでしょうか?
企業でかけやすいのは道、すなわち従業員がついてこれるものかということではないでしょうか。場合によっては、抵抗勢力化したり、逃げ出すことにもなりかねません。上の人間だけで、残りの四つは考えられても、残りの一つで負ける可能性も考慮に入れられるか、ということは発見でした。
②軍を起こすについて=事業を運営することについて
孫子はいう。およそ戦争の原則にとしては、戦車千台、輜重車千台、武具をつけた兵士十万で、千里の外に食糧を運搬するというばあいには、内外の経費、外交上の費用、にかわやうるしなどの材料、戦車や甲冑の供給などで、一日に千金をも費やしてはじめて十万の軍隊を動かせる。
あらゆる戦争に関する補給やそれにかかる費用を鑑みて初めて、人を兵士として、戦車を動くものとして、扱うことができるということです。これは言われれば当たり前と思う一方で、普段はなかなか意識できないところです。
ビジネスを行おうと思えば、場所を用意し、人を雇わねばなりません。人を雇うのは年収の2倍は費用がかかります。また、ものを作り、売ろうと思えば、研究開発、製造、販売、経理、人事に総務も必要です。
これらを意識して、ビジネスの計算ができなければ、儲けを出すことは困難ではないでしょうか。
③測定可能であること
戦争の原則としては5つの大切なことがある。第一には度-ものさしではかること。第二は量-ますめではかること。第三には数-数えはかこと。第四には称-くらべはかること。第五には勝-勝敗を考えることである
これは「度」で、戦場の広さ、距離を計り、「量」にてそれに応じた物量を考慮し、「数」にて人数を考え、敵味方の能力を「称」で比べ、「勝」勝敗を考えるというものです。当時の戦の要素をフレームワークにして、勝敗にまで結びつけているのは驚異的です。
ビジネスで言えば、市場を計り、投入するリソースを計り、人を張り、そして利益見込みを図ることを数字に基づいてしっかり図ることが必要だということではないでしょうか。行き当たりばったりではなく、数字に基づいたハードな根拠を持つことは生死がかかるビジネスでも同じでしょう。
これ以外にもビジネスに応用可能な格言、用意周到な準備の大切さ、ことを起こす際の心構えといった内容が散りばめられております。新人時代ならわからなかったことも、今ならば、どう応用すべきか、どこが新しい視点かがわかるようになった今が読み時なのだと思います。
ビジネスの戦を起こす=事業を運営する側に回る方が何を考えるべきか、何を考えているかを知りたい方にオススメです。