やったもん勝ちの時代-検証コストが下がると仮説思考の出番が減る?
こんにちはヒガシです。仮説思考という言葉、聞いたことがあるでしょうか?論理的思考と併せて、コンサルタントの基本スキルと言われます。長年、仮説思考は、課題解決に重宝されてきましたが、その潮流が変化しつつあると感じます。
仮説思考について
仮説思考とは、ある課題を検討するにあたり、1つの意思決定が、後続の検討に影響を与える場合や、情報が適時に入手できない場合に、現時点で入手できる情報に基づき「仮説」を設定することで、網羅的検討を避け、効率的な検討を進める手段です。
仮説思考が強力なツールだと感じるのは、プロジェクトの初期仮説と呼ばれる段階で、何を検討しなくてはいけないかの見通しができてしまう時です。
課題解決は現状分析、課題把握、要因分析、解決策立案、実行、評価と進んでいきます。この時、仮説を用いないと、1つずつのステップを終えてからでないと、次のステップで何をするのか、詳細なタスクを設定できません。
一方、仮説を用いると、各ステップのおおよその結果が仮説に基づいて推定でき、実施すべきタスクを予め把握することができます。
検証コストが下がると仮説思考の出番は減る?
しかしながら、情報処理のコストが格段に下がり、特にIT界隈の開発速度が速くなった現代では、仮説思考に頼らずとも、安く、早く、事実と効果を把握することが可能です。結局、仮説を立てても、検証を通じ、事実と突き合わせが必要であり、アイデア実行に検証コストがかからないなら、実行した方が早いわけです。
昔のシステム開発のように、失敗が許されず、開発期間も長かった頃ならともかく、現在のよう開発期間が短く、コストも低くできる状況においては、仮説の出番は無くなるかもしれません。
また、仮説が立てられない、誰も経験したことのない環境においては、頭の中でウンウン考えても仕方のない状況もあり得ます。ナノ技術、IoT、コグニティブ、経験したことのない世界に対しては、行動そのものが、さらなる前提の変化を起こすため、精度の悪い仮説よりも事実把握が遥かに重要になります。
この変化を認識して、従来の業務のやり方を変えている企業が出始めている一方で、旧態以前の意思決定の遅さで動いてる企業もいます。いつの時代も、時代の変化を捉え、うまく取り入れられるかどうかが、企業の成否を変えていくことを実感しています。
書籍紹介
仮説について、仮説の使い方、仮設の立て方、検証方法、高め方と書かれている。筆者は元BCG日本法人の代表。