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ヒガシの日記

公認会計士コンサルタントの思考の備忘録

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アスクル倉庫の火災の影響について考える

アスクルの埼玉県入間市にある倉庫で、火災が発生したニュースが連日報道されています。鎮火の先行きが見えず、関係者の方々、並びに消防の皆様には二次災害につながるようなことが発生しないことを願うばかりです。

 

さて、会社を数字から見るという面で、今回の影響を考えてみようと思います。

 

BSサイドからの影響

今回火災が発生した倉庫は、埼玉県入間市にある倉庫で、以前のニュースを見るに土地建物て152.5億、マテハン*1用の機械として約40億円をアスクルは投資しています。

www.google.co.jp

まず気になるのは、この土地建物ですが、当時の有価証券報告書によると建物は当時105億円での取得になっています。

http://pdf.irpocket.com/C2678/h8MH/IFap/QaPi.pdf

償却計算はあるものの、倉庫用の建物の耐用年数はけっこう長いですし、8割建物が焼けているとの報道もあり、全損ということも最悪ありうるのではないでしょうか。

全損であっても、通常、6割から9割くらいの付保を行なっている場合が多く、焼けてしまった商品を含めて、ある程度取り戻すことができるのではないかと見ています。

これはマテハン用の機械も同様です。

 

従って8割付保とすれば、建物、マテハン機械合計の145億×80%=118億は帰ってきますし、残りの29億もアスクルの利益からすると全て損金として益金と相殺可能ですから実効税率40%としても、11.6億は取り戻せて、正味17.4億が損失になる計算です。

 

PLサイドからの影響

次にPLサイドからの影響です。倉庫で火災があり、その間物流がストップしてしまいますので、売上高が下がるのは間違いないでしょう。売上高の減少幅は、代替拠点となる横浜の物流センターで賄いきれない売上高分が相当するのではないでしょうか。

人件費の面では、倉庫の働き手はアルバイトの可能性があり、こちらは残念ながら雇い止めになるかもしれませんので、売上高は減るのに、人件費だけはかかることは避けられるかもしれません。

いずれにせよ、サプライチェーンのどこがボトルネックで、それが断絶した場合に業績にどう影響を与えるのか、どれくらいで復旧できるのか、普段からBCPとして持っていないと、他者に遅れを取るだけでなく、ステイクホルダーへの対応も難しいところです。

 

まとめ

会社における事件や事故は、ユーザーサイドからは、物が届かない、他で買うといった対応になりますが、企業の経営という観点で見ると、違った視点も見えてきます。ビジネスの形態により、どうリスクと対峙するのか、アスクルの事故を通して学ぶことができそうです。

 

※本稿の内容は、公表情報に基づく推定であり、確定情報ではありません。従って、本稿に基づく投資判断やそれに伴う損失についての責任は負いかねます。また、本稿の内容は個人的見解であり所属組織とはなんら関係のあるものではありません。

*1:マテリアルハンドリング、物流における物の移動の全てを指す