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コンサルタント思考の備忘録

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その考え、誰のため?論理的思考だけでは足りない場合とは

こんにちは、ヒガシです。昨日の朝の地震、思わず、東日本大震災を意識し、身構えてしまいました。当時私は、クライアントの本社にいたのですが、東北地方の支店への連絡が取れなくなる中で、迅速に対応する姿に、有事の際の危機対応管理をしておく重要性を実感しました。今日は、論理的思考だけでは足りないということについて少しお伝えしたいと思います。

 

論理的思考についての前提

論理的思考は、 コンサルタントはもちろん、ビジネスマンの必須スキルと言われています。論理的思考については、本やwebサイトでも紹介されてるので、私が書くまでもないので割愛しますが、論理的であることを「主張、事実同士のつながりを明確にし、かつその妥当性が過不足なく検証されていること」としてお話しします。

 

論理的思考が役立つ場面

論理的思考が役立つのは、他人に対して物事を伝える場合や、自身が考えた事に対して、矛盾がないかを検証する場合です。例えば、「今行っている事業を存続すべきか、廃止すべきか」といったビジネス上の選択や、「この洋服を買うべきか、買わないべきか」といった日常的な事柄まで一貫した筋道を立てて、なぜその行動をとるべきかということが整理でき、自身の考えの検証が行えるとともに、体系的な整理により、他人に説明がしやすくなるということがメリットといえます。

 

論理的思考だけでは足りない

 論理的思考は、思考の整理や、矛盾なく主張を展開するには非常に強力なツールになります。しかしながら、現実には論理的思考だけでは足りないと感じる場面が少なからずあります。

誰にとっての前提条件をもとに論理的展開を行うか

 論理的思考で、主張の展開を行う場合には、考慮すべき前提条件と、考慮しなくてもよい前提条件があります。例えば、業績不振の事業部について、廃止するか、存続するかといった判断は、社長や役員の判断であるのに対して、事業部を存続するために、営業の拡販を行う、リストラを行うといったことは事業部長以下の判断です。事業部長は、事業の存続を「前提」としているのに対して、社長や役員は会社の利益を「前提」に物事を考えています。

何が言いたいのかというと、前提は考える人の起点によって異なるということです。したがって、誰のために物事を考えるのかという観点を初めに考えなくては、論理的には合っていて、整合性のとれた主張であっても、前提条件をひっくり返され、全てが崩壊します。

プロフェッショナルな仕事でよく使われる「クライアントファースト」という言葉がありますが、クライアントが誰なのかを考えることも、論理的思考と同じくらい重要であるといえます。

論理的=人が動くではない

もう一つは、論理的であることが、すなわち、人を動かすことにはならないということです。筋の通った主張で、自らがやっていることを否定されるとあなたはどう感じるでしょうか。たいていの人は、主張に対して、反発し、従うことを拒否するでしょう。権力を以て無理強いすれば、更に頑なになり、やろうとしていたことが形骸化していく可能性もあります。

論理的であることは、主張を通すうえでの必要条件にはなっても、十分条件にはなりえないということです。主張を論理的に準備するのは当然のことで、これをいかに実行に移してもらうかということに関しては、政治、駆け引き、交渉、説得も併せて必要になります。

 

論理的思考だけでは足りないということについて、2つの事についてお伝えしました。1.については論理的思考の詰めが甘いだけということも言えますが、そもそもの前提が論理的でない場合もありつつ、現実問題として論理整合性を諦めることもあるがゆえに言及しました。

 

最後に、論理的思考を鍛える上で個人的にオススメと思う本を紹介します。

 

ロジカルシンキングの元祖本ともいえる本(らしい)。身近な例を多く交えて、なぜ自分の話が伝わらないのか、どうやって整理していけば伝わりやすいのかといったことをステップ別に学んでいける。 

 

 ロジカルシンキングを展開していくうえで、どのような展開方法と検証方法があるのかを考える、書くということに落とし込んでいくための教本。作者のバーバラ・ミントはBCGの出身者。コンサルタントは必ず読まされる・・・

 

ロジカルシンキングというより、論理学の本。論理矛盾を起こしている例題をもとに、どこに論理的な矛盾があり、どのように直すべきかを101題でトレーニングできる。コンプリートは大変だけども、矯正効果もかなり強い。