簡単な仕事、難しい仕事
コンサルタントにとって、簡単な仕事、難しい仕事を考えたことがある。
コンサルタントは、お客様の課題を、外部の立場から解決するために、有期で仕事をする。難易度は、課題自体の難易度、お客様の期待、課題に対する自身の能力経験で捉えている。
難易度と能力は単純な関係で、課題が難しければ難易度は上がり、能力が高ければ難易度は下がる。
期待値だけは違う。
お客様の期待値は、お客様自身の能力に左右される。お客様が能力経験に乏しければ、期待値に根拠が無くなり、現実に出来ないことを期待しだす。また、社内調整もあまり期待できない。
能力経験が豊富ならば、コンサルタントの提案の足元を見て、出来る範囲を詰めてくる。場合によっては、提案の検討アプローチを貰ってもう結構となる。
お客様の能力経験が豊富でも、乏しくても、コンサルタントにとっては難易度は高くなる。だからこそ、プロジェクトが破綻しない範囲に、期待値を擦り合わせていくことがプロマネに求められる。
作業として簡単なプロジェクトはあれど、期待値の調整が簡単なプロジェクトは無いので、簡単な仕事は無いというのが結論。
会計数値をリアルに結びつける練習
こんにちは、ヒガシです。ファイナンスの仕事を長年やっているとある能力が身についてきます。それは、会計数値から、ある程度ビジネスの実態というものが見えてくるというものです。例えば、売上や仕入が数字ではなく、リアルな人の活動レベルとして見えてくることです。
会計数値を数字以上に見る方法
例えば日用品メーカーライオンの数値を見てみましょう。
2015年のオーラルケア部門の連結売上高は594億円です。
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20170123_090841152_ckgfjziq1425os553hhbzw45_0.pdf
ライオンのオーラルケアブランドは、クリニカ、デンターシステマ、デントヘルス等が有名ですね。また、ライオンは歯科向けの衛生用品も販売しているようです。
仮に日本の人口を1億2000万人と置いても、一人当たり500円程度、ライオンのオーラルケア用品を使っている計算になります。
もちろん、世の中のオーラルケア用品はライオン以外にもあるので計算が少しよろしくないので、仮に6人に1人が使ってらと仮定しましょう。6倍の約3000円です。例えば、デンターシステマは近所のドラッグストアで328円で売ってるので、卸が7割くらいとしたら230円くらい、一年で13本くらい買ってる計算です。おそらく購入するのは歯ブラシだけでは無いでしょうから、まずまずの数字ではないでしょうか?
何が言いたいかというと、会計数値をただの数字ではなく、物流や実際の消費者がどれくらい手に取るのかといったリアルな行動に置き換えていくことが会計数値を見るには大事だと思うということです。
ヒントは日常にある
なんだと思われるかもしれませんが、公表書類に、こういった簡単なフェルミ推定のような遊びを繰り返し、ビジネスモデルを分析していくと色々な企業の姿が見えてくるのです。
BtoCの世界であれば、誰でも触れることができます。
コンビニに行き、売っている商品を見る、テレビのCMを早送りせず、何を売っているのか、この企業はどういうビジネスなのかという分析を繰り返していくと、会計数値の裏にある活動がありありと見えてくるようになります。
日常、自分が手に取るもの、見るものの裏にどんな活動が関わっているのか?消費者の立場だけでなく、会社を見る目線で見てみると、今まで見えなかった世界が見えてくるかもしれません。
読書ノート_「本を読む本」
こんにちは、ヒガシです。仕事柄、様々なジャンルの本を読みますが、ふと、このままの読書を続けてどれくらいの効果があるのだろうかと想像しました。過去に、体系的に読書を技術として学んだこともありません。そこで、一度、読書法について整理することにしました。
読書については、過去にショーペンハウエルの「読書について」を読了し、
読書とは他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。
には大いに納得しました。今回はそれも踏まえて、主体的な読書技術を使って、自ら考えるために「本を読む本」を手に取りました。読書技術の古典的な名著だそうです。
- 作者: ショウペンハウエル,Arthur Schopenhauer,斎藤忍随
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/07
- メディア: 文庫
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本を読む本の構成
「本を読む本」は初版1940年、アメリカで刊行された本で各国で翻訳され、出版されてきました。私が読んだ講談社学術文庫版は、「思考の整理学」でお馴染みの外山滋比古が訳者の一人となっています。
「本を読む本」は4段階のレベルで読書を定義しており、しかもその対象を読むに値する良書に限定しています。4段階のレベルは、
1.初級読書
2.点検読書
3.分析読書
4.シントピカル読書
の4つになります。中でも、この本では分析読書に重点を置いています。
分析的読書について
分析的読書では、本の分類に始まり、著者と認識合わせを行い、問題、命題、論証を把握し、最後に批評を行うというところまでを行います。ここには三つの段階と15の規則があります。
初見では、いくつ規則があるかわからない中で「第〇〇の規則は〜」と説明され、到底理解できなかったので、構成の整理も兼ねて、1スライドにまとめました。
①本を見分ける②内容の解釈③批判の3段階で分析読書は展開されています。また、規則の9~11は個人的には規則というよりも決まり事と捉えました。したがって、実質的には12の規則を作業として実施することで十分でしょう。
第一段階では、全体の要約としてどのようなジャンルの本で、何について語っており、全体と部分がどう構成され、問題はなんであるかを把握することで、何の本であるかを見分けるとなっています。
第二段階では、それに対するキーワード、命題、論証、顛末の把握を行い、本の内容を解釈するということになります。第一段階と第二段階併せて、ロジカルシンキングでいうところのイシューツリーの作成ということになるでしょうか。命題の証明という解決手段を含めた切り口を反映していくということになるかと思います。
第三段階では、著者の知識不足、知識誤り、論証不足、論証自体の批判を行い、自らが納得できるものかどうかを判断する段階といえるのではないでしょうか。
単に本を読み学ぶ、受け入れるということではなく、自らその主張を再構成していく過程を経て、納得できるかどうかを判断していくことが、いわゆる読むだけの読書や本の内容を行動に移す読書と「分析読書」の違う点です。
レベル4のシントピカル読書についても、分析読書同様、一定のテーマに沿ってイシューツリーを作っていき、主張に対して、複数の本からの観点で、論証をブラッシュアップしていく点では、分析読書をまずは身に着けることが最優先となります。
まとめ
分析読書の内容については、現代であればイシューツリーを作ってと言うのは簡単ですが、この本の原著が発刊されたのは1940年です。それこそフレームワークやらロジカルシンキングなんて何それという時代ですので、その時代に正しく本を読むための技術がこれだけ整理されていたのは驚異的ではないでしょうか。
こういった本を読む技術を身に着けることができれば、読むに値する本か、この本の主張や論理構成は何か、その上で中身を読んでいく読書の基礎になるでしょう。しっかりと構成された良書を選び、良書については分析読書やシントピカル読書を実践してみようと思います。
- 作者: J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン,外山滋比古,槇未知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/10/09
- メディア: 文庫
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How to Read a Book (A Touchstone Book) (English Edition)
- 作者: Charles Van Doren,Mortimer J. Adler
- 出版社/メーカー: Touchstone
- 発売日: 2011/05/10
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